— 「経費になる」と「損金になる」は違います —
営業車で駐車違反をしてしまった、業務中にスピード違反で反則金を払った——こうした場合、会社が負担した交通反則金は経費にできるのでしょうか。結論としては、会計上は経費として計上できますが、法人税の計算上は損金に算入できません。「経費になる」と「損金になる」は実は別の概念です。今回は、この違いを交通反則金を例に整理します。
1. 経費と損金の違い
まず、「経費」と「損金」の違いを押さえておきましょう。経費とは会計上の費用のことで、会社が支出した費用を帳簿に記録するものです。一方、損金とは法人税の計算上、利益から差し引くことが認められる費用のことです。
多くの費用は経費=損金となりますが、一部の費用は「会計上は経費に計上するが、法人税の計算では損金に算入できない(損金不算入)」ものがあります。交通反則金はその代表例です。
| 会計上の処理 | 法人税の計算 | |
| 通常の経費 | 経費として計上 (仕入、家賃等) | 損金に算入できる |
| 交通反則金 | 経費として計上 (租税公課) | 損金に算入できない |
つまり、交通反則金は帳簿には経費として記録しますが、法人税の申告書上では利益に加算し直す(損金不算入として別表で加算する)必要があります。
2. なぜ交通反則金は損金にならないのか
交通反則金が損金不算入とされる理由は、罰則としての効果を維持するためです。もし反則金を損金に算入できると、結果として法人税が減るため、罰金の負担が実質的に軽くなってしまいます。これでは罰則の意味がなくなるため、法人税法では罰金・科料・過料・反則金などを損金不算入と定めています。
同じ理由から、以下の支出も損金不算入となります。
・ 法人税や住民税の本税
・ 各種加算税・延滞税
・ 罰金・科料・過料
・ 交通反則金
なお、延滞金であっても、社会保険料の延滞金は損金に算入できるなど、種類によって取扱いが異なります。判断に迷う場合はご相談ください。
3. 会社が負担すべきか、個人が負担すべきか
交通反則金を会社と個人のどちらが負担するかは、業務との関連性がポイントになります。業務中の違反であれば会社が負担することに問題はありませんが、業務と無関係な違反(通勤途中のプライベートな違反等)を会社が負担すると、その金額は社員や役員への給与として課税される可能性があります。
業務上の違反であっても、損金不算入であることに変わりはありませんので、法人税の負担は軽くなりません。会社が負担する場合は、租税公課として計上し、法人税申告書の別表で加算する処理が必要です。
また、社員が業務中に起こした交通違反について会社が反則金を負担するケースでは、社内規程で負担ルールを明確にしておくことをおすすめします。規程がないと、「なぜこの違反は会社が負担して、あの違反は自己負担なのか」といった不公平感が生じ、社内でトラブルになることもあります。業務上の違反か私的な違反かの線引きを事前に決めておくことが大切です。
まとめ
交通反則金は会計上の経費にはなりますが、法人税の計算上は損金に算入できません。「経費=損金」ではないという点は、反則金に限らず税務全般で重要な考え方です。
損金不算入の取扱いについてご不明な点がありましたら、アマヤ・パートナーズ税理士法人までお気軽にお問い合わせください。
(参考:法人税法第38条第2項、法人税法第55条)
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