決算の着地が見えて、思ったより利益が出そうだと分かるのは、たいてい期末の1〜2か月前です。ここでは、決算の直前からでも間に合う手当のうち、代表的な3つをご紹介します。
1. 決算賞与
期末までに従業員へ賞与を出すと決め、実際に払うのは翌期という場合でも、決算の期の費用にできるのが決算賞与です。
ただし、次の3つをすべて満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
| 期末までに全員へ通知 | 誰にいくら払うのかを一人ひとりに伝え、記録が残る形にしておきます |
| 翌日から1か月以内に支払 | 3月決算なら4月末まで。1人でも遅れると全体が認められないことがあります |
| その期の決算で費用処理 | 未払賞与として帳簿に計上します |
通知した後に退職した人の分を払わなかった、通知額と支給額が違っていたといった場合は、要件を満たさないと判断されることがありますので、ご注意ください。
2. 短期前払費用
家賃や保険料のように、毎月決まって払っているものを1年分まとめて前払いすると、払った期の費用にできるのが短期前払費用です。
本来、前払いした金額は、期間に対応した期の費用にしていきますが、1年以内のものには例外が認められています。
使えるのは、次の条件を満たすものです。
| 条件 | 内容 |
| 1年以内に提供を受ける | 期末に払い、翌年の同じ月までに受けるサービス。2年分の前払いは対象外です |
| 毎年続けて同じ処理をする | 利益が出た年だけ年払いにし、翌年は月払いに戻す使い方はできません |
| 売上に直接ひもづかない | 家賃、保険料、会費、顧問料など。仕入代金や外注費は対象外です |
資金が1年分まとめて出ていきますので、手元に余裕があるかを先に確かめてからお使いください。
3. 少額減価償却資産(40万円未満に引上げ)
長く使う資産は本来、使う年数に分けて少しずつ費用にします。これを「減価償却」といいます。
ただし中小企業には、一定の金額より安いものは買った期に全額を費用にできる特例があり、令和8年度の税制改正で30万円未満から40万円未満に引き上げられ、令和8年4月1日以後に取得して使い始めた資産から適用されます。
| 取得価額 | 取扱い |
| 10万円未満 | 買った期に全額を費用にできる |
| 10万円以上20万円未満 | 3年で均等に費用にできる(一括償却資産) |
| 20万円以上40万円未満 | 買った期に全額を費用にできる(中小企業の特例) |
| 40万円以上 | 法定耐用年数に応じて毎年少しずつ費用にする |
特例を使うには、青色申告をしている中小企業者等で、常時使用する従業員が400人以下であることが必要です。1年間に使える合計額は300万円までです。
期末間際に買う場合は、使い始めた日にご注意ください。買っただけでは費用にできず、実際に使い始めている必要があります。
まとめ
ほかにも、税法上認められた節税や、法人税の支払いを先送りする方法があります。ただし、利益を減らすことだけを目的にすると、手元の資金が減って翌期の運転資金に困ることもあります。
どの方法をどのくらい使うかは、会社の状況に応じて決めるのがよいと思います。詳しくお知りになりたい場合は、個別にご相談ください。
(参考:法人税法施行令第72条の3、法人税基本通達2-2-14、租税特別措置法第67条の5)
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