決算書を銀行に出すとき、どこを見られているのかを意識されたことはあるでしょうか。銀行の担当者はまず決まった数字を拾い、その会社をどのくらい安全な融資先かでランク分けします。
このランクは会社に知らされませんが、融資の可否や金利を左右します。見られている数字が分かれば、決算を組む段階でできる工夫もあります。
1. 借入をあと何年で返せるか
銀行が最も重く見ているのが、いまの利益であと何年で借入を返しきれるかという数字です。「債務償還年数」と呼ばれます。計算の仕方はおおむね次のとおりです。
(借入金 − 現預金)÷(税引後利益 + 減価償却費)
分母の「税引後利益+減価償却費」は、1年間で返済に回せるお金です。減価償却費は利益を減らしますが実際にお金は出ていかないため、足し戻します。
たとえば借入が1億円、現預金が2千万円、税引後利益が800万円、減価償却費が400万円の会社であれば、(1億円−2千万円)÷(800万円+400万円)で約6.7年です。
10年以内であれば概ね問題なしと見られることが多く、これが15年、20年と延びてくると、新規の融資は慎重になります。
2. 自己資本比率と、債務超過かどうか
自己資本比率は、資産のうち返さなくてよいお金がどれだけあるかを示す数字で、純資産÷総資産で計算します。中小企業では20%以上あれば安定、10%を下回ると見方が厳しくなります。
それ以上に重いのが債務超過です。純資産がマイナス、つまり資産をすべて売っても借入を返しきれない状態をいいます。
債務超過になると、新規の融資は相当難しくなりますので、赤字が続いて純資産が薄くなってきた段階で早めに手を打っておきたいところです。
3. 本業で利益が出ているか
同じ黒字でも中身が見られます。銀行が見ているのは経常利益、つまり本業の儲けに受取利息や支払利息を加えた段階の利益です。
土地や保険の解約で一時的に出た利益は、特別利益として経常利益より下に表示されます。ここで黒字になっていても、経常利益が赤字であれば「本業では赤字の会社」という見方をされます。
節税のために入っていた保険を解約して黒字にした決算も同じです。融資の予定がある年は順番にご注意ください。
4. 資産に実態があるか
銀行は、決算書の数字をそのまま受け取るのではなく、資産のうち本当に換金できるものだけを残して計算し直しています。「実態のバランスシート」と呼ばれる作業です。
差し引かれやすいのは、次のようなものです。
| 差し引かれやすいもの | 見られ方 |
| 社長への貸付金・仮払金 | 回収の見込みが立たないお金と見られ、資産から外されます |
| 長く動いていない売掛金 | 回収できていないものとして資産から外されます |
| 売れ残っている在庫 | 何年も動いていない在庫は、評価を下げて見られます |
| 繰延資産や保険積立金 | 解約したときに戻る金額まで引き下げて見られます |
帳簿では黒字でも、これらを差し引くと純資産がマイナスになる会社は少なくありません。なかでも社長への貸付金は、銀行が最も目をつけやすい項目です。残っている場合は、報酬からの返済など減らす道筋を決めておかれると、評価が変わります。
まとめ
銀行が見ているのは、返せるかどうかの一点です。決算書は年に一度しか出せません。期末が来てから整えても間に合わないことがあります。
期中の試算表や資金繰り表を定期的に渡しておくと、決算を待たずに状況を伝えられます。業績が良いときほど重ねておかれると、いざというときの話が早くなります。
数字そのものに加えて、会社のいまの状況と今後の見込みを、実態の数字とあわせて銀行に説明できるかどうかも大きな鍵になります。決算書の説明の仕方にご興味がありましたら、個別にご相談ください。
(参考:金融庁「金融検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」)
融資の可否を分ける4つの数字
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