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会社名義で借りた住宅を社長に貸す「役員社宅」の活用法(014)

会社が法人名義で賃貸物件を契約し、それを社長に貸し出す形をとれば、税法上「役員社宅」として認められ、一定の特例の適用を受けることができます。住宅手当として現金を支給する場合と比べ、法人・個人の双方にとって税負担を軽減できる制度です。今回は、役員社宅の仕組みと活用のポイントを整理します。

1. 役員社宅の仕組み — なぜ節税になるのか

役員社宅とは、会社が法人名義で賃貸物件を契約し、その物件を役員に社宅として貸し出す仕組みです。この場合、役員は会社が支払っている家賃の全額を負担する必要はなく、税法で定められた計算式による一定額(賃貸料相当額)を会社に支払えば、それ以上の部分は給与として課税されません。この賃貸料相当額は通常の市場家賃よりもかなり低い金額になるため、住宅手当として現金で支給する場合と比べて、役員個人の所得税・住民税・社会保険料の負担を抑えることができるのがポイントです。

たとえば、家賃20万円の物件で賃貸料相当額を計算した結果、役員の自己負担が家賃の10〜40%程度になるケースが一般的です(物件の所在地や構造、固定資産税の課税標準額により大きく異なります)。住宅手当として同額を現金支給した場合は全額が給与課税の対象となりますので、社宅制度のほうが有利です。

【例】家賃月額20万円、役員の自己負担分の6万円(30%)の場合

  住宅手当として支給 社宅として貸与
会社の支出(月額) 20万円(給与扱い) 20万円(家賃として損金)
役員の所得税・住民税の対象 20万円 自己負担分の6万円
社会保険料の対象 20万円 自己負担分の6万円
役員の実質的な住居費負担 20万円 自己負担分の6万円

※自己負担額(賃貸料相当額)は物件により大きく異なります。上記は一例です。

2. 「賃貸料相当額」の計算方法

役員が会社に支払うべき金額(賃貸料相当額)は、住宅の規模によって計算方法が異なります。

■ 小規模な住宅の場合

木造等(法定耐用年数が30年以下)で床面積132㎡以下、鉄筋コンクリート造等(法定耐用年数が30年超)で床面積99㎡以下の住宅は「小規模な住宅」に該当します。この場合、次の3つの合計額が賃貸料相当額になります。

 ① 建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2%

 ② 12円 ×(建物の総床面積㎡ ÷ 3.3㎡)

 ③ 敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%

小規模住宅の場合、上記のとおり複雑な計算が必要ですが、実際に計算すると賃貸料相当額は実際の家賃の10〜40%程度になることが多く、残りの60〜90%を会社の経費にすることが可能です。正確に計算するには物件ごとの固定資産税の課税標準額が必要となりますので、個別にご相談ください。

■ 小規模でない住宅・豪華住宅の場合

小規模住宅の基準を超える物件では、家賃の50%と所定の計算式のいずれか多い方が賃貸料相当額となり、節税効果は小さくなります。また、床面積240㎡超やプール付きなどの「豪華住宅」は社宅制度の対象外となり、家賃全額が役員の負担となります。

3. 導入時の注意点

役員社宅制度を導入する際には、いくつかの条件を満たす必要があります。法人名義で賃貸借契約を締結することが前提であり、個人名義のままでは社宅として認められません。また、賃貸料相当額を正しく計算するためには、建物と敷地の固定資産税の課税標準額を把握する必要があります。市区町村の窓口で固定資産評価証明書を取得して確認しましょう。なお、光熱費や駐車場代は社宅の経費に含めることができませんのでご注意ください。

まとめ

役員社宅は、住宅手当として現金で支給する場合と比べて、役員個人の所得税・住民税・社会保険料の負担を抑えることができる制度です。賃貸に住んでいる社長であれば、法人名義での契約を検討する価値は大きいといえます。

役員社宅の導入や賃貸料相当額の計算についてご不明な点がありましたら、アマヤ・パートナーズ税理士法人までお気軽にお問い合わせください。

(根拠条文:所得税法第36条、所得税基本通達 36-40〜36-48)

参考:国税庁タックスアンサー No.2600「役員に社宅などを貸したとき」

役員社宅の活用法 会社名義で住宅を借りる(014)

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