平成27年の相続税改正により課税範囲が広がって以降、相続税がかかる人の割合は年々上昇し、東京都では亡くなった方の約2割が課税対象となっています。さらに近年は、不動産価格が上昇しており、今後はこれまで以上に税負担が大きくなると予想されます。
経営者の立場から見ても、相続対策は「会社を守るための準備」といえます。事業承継や資産承継を円滑に進めるためには、家族の意向や会社の将来像も踏まえて計画することが大切です。
今回は、相続が発生する前にできる代表的な対策5選をご紹介します。
1. 生前贈与を活用し、計画的に資産を移す
相続対策の基本は「生前贈与」です。年間110万円までの贈与は非課税となるため、時間はかかりますが少しずつ財産を移すことができます。「相続時精算課税制度」を利用すれば、2,500万円までの贈与が非課税(超過分は20%課税)となり、後継者に株式や不動産などの資産を早めに承継させることができます。
将来かかる相続税をシミュレーションした上で、財産をどの様に生前贈与するか計画的に進めていくと、より効果的な節税を行うことができます。さらに、生前贈与は次世代が早期に経営に関わる機会となり、事業承継の準備にも役立ちます。
2. 生命保険を活用して納税資金を準備する
生命保険の非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)は、納税資金を確保する上で有効です。例えば、配偶者と子2人の家庭なら、1,500万円までの保険金が非課税になります。保険金を納税や生活資金に活用することで、相続後の資金繰りに余裕を持たせることができます。契約や受取人の設定によっても効果が変わるため、事前に整理しておくことが大切です。
3. 不動産と小規模宅地等の特例を活かす
不動産は現金に比べて相続税評価額が下がる傾向があり、相続税の負担を軽減する重要な手段となります。さらに賃貸用の土地であれば、「小規模宅地等の特例」を使って評価額を50%まで下げることが出来ます。
現金資産を不動産に組み替えることで大きな節税効果を生むことができますが、過度に行うと脱税を指摘されたり、将来納税資金が不足する可能性もあります。節税効果だけにとらわれず、資金計画とのバランスを見ながら検討することも重要です。
4. 自社株対策をし、事業承継税制を活用する
経営者にとって、自社株は会社の未来を託す大切な資産です。業績や資産の状況によって評価額が変動するため、まずは株主構成や資産構成を把握し、将来を見据えた「承継計画」を立てることが大切です。
特に、会社の成長に伴って株価が上昇すると、後継者が引き継ぐ際の税負担も大きくなるため、現状を正確に把握し、早期に対策を講じることがポイントとなります。
また、「事業承継税制」を上手に活用することで、後継者にかかる相続税や贈与税の納税を猶予することができます。制度の適用には一定の手続きが必要ですが、事前に準備を整えることでスムーズに進めることができ、次世代への安心したバトンタッチにつながります。早めの準備が、経営の継続と家族の安心を守る大きな鍵となります。
5. 遺言書と家族会議でトラブルを防ぐ
相続の場面では、税金対策以上に「家族間の理解」が重要になることがあります。あらかじめ「遺言書」を作成しておくことで、遺産の分け方に関する誤解や争いを防ぎ、経営や財産の承継をスムーズに進めることができます。
遺言書は、単に財産の分け方を示すだけでなく、ご自身の「想い」を伝える手段にもなります。たとえば、「なぜこのような分け方にしたのか」「どんな気持ちで家族に財産を残したいのか」といった背景を、「付言事項」として添えることで、ご家族の理解が深まり、相続が円滑に進む可能性が高まります。
さらに、遺言書の作成に加えて、生前のうちにご家族と話し合い、考えや希望を共有しておく方がよいでしょう。相続人がより納得しやすくなり、結果として争いを未然に防ぐことにもつながります。
6. まとめ:相続対策は「将来の安心のための経営判断」
相続対策は、単なる節税対策ではなく、会社や財産、そして家族を守るための経営判断ともいえます。
まずは、相続財産全体やご家庭の状況を把握し、事前に最適な方法を検討することが、より良い財産保全・資産承継へつながりますので、是非ともこの機会にご検討してみてはいかがでしょうか?
「相続対策」基本5選
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